【タイトル】 | ・・・【鵜の鳥】 |
昔なあ。 | |
瀬上いとても、息の長んか鵜の鳥がおったちゅう。 | |
平良にも息の長んか鵜の鳥がおったちゅうが。 | |
どっちも息の長んかもんやったでえ、 | |
「世界中で、一番息の長んかたあ、俺(オイ)やろう」て思むうて威張っておいもした。 | |
あるとき、黒瀬ん沖で、出ようたちゅうが、 | |
「おい、おい、あっかあ、平良で一番息の長んかちゅう鵜のどんか」て言うたとこいが、 | |
「よお、あっかあ、瀬上で一番息の長んかちゅう鵜のといか」 | |
「うん」 | |
「こや、よがとこいね、おうら。どっちんいきのあいか、海いかちいねみようか」 | |
と、瀬上ん鵜が言いもしたでえ、平良の鵜が、 | |
「よう、ここから、支那ん方さめゃ、むかけて、かじいで、早よう、支那にとじたもんの、かちやっど。 | |
途中で頭ばあげて、呼吸(イキ)ばしたもんな、まけやっど」て言ふて、 | |
「一二の三」で支那ん方さめゃむかけて、かじきもした。 | |
そして、そんまま、二日かかったろう、三日かかたろう、海ん中ばかじいておったっつうでえ。 | |
後ん話しや、鵜の鳥の出てきてからん事(コ)てえ、せじんや、はなし。 | |
もう、そい限いのむかあし。 | |
※この話は昔話をせがんできりのない子供に、「話は鵜の鳥が出て来てから」と、話を終わりにしたものである。 |