【タイトル】 | ・・・【海の世界一】 |
昔なあ。 | |
熊鷹ていう、とてもからだの太か鳥で、飛うでも速か鳥がおいもしたちうが。。 | |
あるとき、海ん上ば、一週間、夜昼飛うで見たとこいが、沖の方に、太か枯木んあいもしたでえ、 | |
それえ止まって、「世界中に、おいよきや、太かもんなおいみゃ」て言うて、 | |
また夜昼一週間飛うだとこいが、また枯木んあったでえ、それえ止まって、 | |
「世界中で、おいよきゃ、ふとかもんなおいみゃ、おらあ世界一やい」て言ふたいば、海の底から | |
エビガネが、「あっかあ、世界中に、おいよか太かもんなおいみゃあて、言ふが、 | |
あっかあ、一週間前ぇ、おいが片方の髭(ヒゲ)え、止まって、今止まっとったあ、 | |
もう片方の髭じゃなかな、人(フト)の面(ツラ)ば一週間もかかって、飛ぶようなもんが、 | |
何が世界中で一番か」て、言ふもんやでえ熊鷹あ、たまがって飛うで逃げもした。 | |
エビガネは、大喜びで、世界一ちゃ、おいやあ、て言うて、海の中ば、あっちい行ったい、 | |
こっちい行ったい、して歩いてさいきよったとこいが、 | |
自分が入って丁度よか位の穴があったもんやでえ、世の中あよかもんや、 | |
この太か自分(オイ)がはいってよか位の穴やちゅうて、穴の中きゃ入って、よくうて、穴から出て、 | |
一週間夜昼歩いたちゅうもさあ、そしたば、だれたもんやっでえ、どっかよか、 | |
休憩(ヨクウ)場所どまあ、なかもんやろうかて、あっち、こっちみよったば、 | |
また太か穴んあいもしたでえ、そん穴ん中きゃ入て、休憩(よく)うて、 | |
「世界中にゃ、おいよきゃ、太かもんなおいならんやろう、おらあ世界中で一番やい」て言うたいば、 | |
「わやあ、なんば言ふとか、一週間前へおいが右の、鼻ん巣ば、そうじしてくれてから、 | |
左の鼻ん巣に、今着(トジイ)たばっかいじゃなかか、なんが世界一やっとか、笑わすんな」 | |
てエガが言いもした。アビガネは、たまがって、にげていきもした。 | |
そいから、エガが、威張ってさいきもしたばって、エガの入る穴な、なかったちもすでえ、 | |
今でもエガあ、穴(アネ)い入いことの出来じん、砂浜んあたいい、平たいまま、ねておいます。 | |
そいで、エガが世界一太かったわけやいもす。 | |
もう、そい限いのむかあし。 | |