| 【タイトル】 | ・・・【猿と蟹の寄り合い餅】 |
| 昔なあ。 | |
| 恵比須山に猿と蟹がおって、そしたとこいが、正月が来いもんやっでえ、餅ば搗こうちゅうこてえなって、。 | |
| 米ば見付けてけえちゅうこてえなってなあ、お母(ッカ)んどが川ぇ米洗いけぇ来た時、 | |
| そん米ばおっ盗(ト)い方ば考えて、蟹の方が、はじめぇ、おっかんどが足を剪(ハサ)むこてえして、 | |
| 「あいた」という間(アイ)じゃあ、その米ばおっ盗(ト)いごとて、いうこてえ吟味しもしたて。 | |
| 二十八日の日い、川ぇいたとこいが、おっかんどん、米洗えきとったとよ。 | |
| 蟹が一人のおっかんががばと、そろうっと行たて、足ば剪うだとこいが、「あいた」ていうて、 | |
| ほんのそうにその洗いよった、笊(ザル)ば、そんままふっくらけえて、その米が猿がおっ盗(ト)って | |
| 二人で餅ば搗きもしたとよ。 | |
| 搗いたこたあ搗いたばって、猿が性が悪いかもんやっで、その餅ば自分ばっかいおっ盗(ト)って、 | |
| 木の上え乗せてしましもしたたったあよ。蟹が腹けえて、 | |
| 「猿、(サアル)、猿(サアル)、おれえおその餅ば半分やらんか」いうたいば、 | |
| 「といがなろうば、登って来え」ていうて、蟹は登いがならんやっでえ、木ばゆすぶったとこいが、 | |
| その餅が有いひこ落ててきて、蟹は、そーれ、今やがちゅうとこいで、 | |
| 自分のさめえ全部(スッポイ)もちくうだでえ、猿は困って、蟹の穴ん中ぇ入いがならず、 | |
| 穴ん口ぃ立って、「蟹(ガアネ)、蟹(ガアネ)おれえにも餅ばやれ」ちゅうて、言うばって、 | |
| 蟹はやらじん、しまいにゃあ、腹んきいええたもんやっでえ、その猿な蟹の穴ん口い、 | |
| 出も入いもならんごと、糞ばバリバリ、ふいよっとこいい、 | |
| 蟹がじっかい尻(ジゴ)ば剪うだわけやいもすとよ。 | |
| そいで猿の尻(ジゴ)は真赤になったちいもすとよ。 | |
| もう、そい限いのむかあし。 | |