【タイトル】 | ・・・【法螺吹き話】 |
昔なあ。 | |
里に、とても太か話しばすい、じいさんがおいもしたとよ。 | |
したいば、中甑にも、とても太か話しばすいじいさんがおいもした。 | |
ほして、そん里のじいさんが、中甑い、やっぱい太か話しばすいじいさんが、居っちゅうでえ、 | |
行たて聞いてみろうちゅうて、かけあいい、来やいもした。 | |
とこいが、じいさんな居らじん、孫が一人おいもした。 | |
「じいさんな、どけえ行きゃったか」て言ふたいば、 | |
「じいさんな、ヘタン串の潮んひいきらねば、平良やいくとき、行き難(ニッ)かでえ、 | |
ヘtン串ば、ふつつめきゃあ、ヌカ袋ば持っていきゃいもした」て、言うもすでえ、こらあ、 | |
太か話しばすいもんやあて、思(オンム)うて、 | |
「ばあさんなどけえ行きゃったか」ていうたいば、 | |
「ばあさんな、長目ん浜に鯨が寄ったちゅうでえ、味噌こしば持って、すくうきゃいきやいもした」 | |
里のじいさんな、こいにゃ、なかわんて思(オンム)うたばって、敗けじん、 | |
「里からきよったいば、辻ん堂の前え、なれ臼(ウシ)いない松の丸太のあったでえ、 | |
そん木の前で屁ばふって、そん木ばとばせてやったでえ、 | |
ここんあたいい来とっとじゃなかろうかと、思うが、来ちゃおやんろうか」て、言うたいば、 | |
「おう、じいさんが、屁ふって、飛ばせやった臼木やろう、おいげん、門口んこうぶん巣にひっかかっとったあ」 | |
て言うもしたば、里のじいさんな、孫せか、こげん太か話しばすったっでえ、じいさんな、 | |
どげん太か話しば、しやっどうわからん。おらあとても、かなわん。 | |
ちうて、帰っていきやいもした。 | |
もう、そい限いのむかあし。 | |